私たちは、教育目標を、「学生に地理的素養や環境問題に対する問題意識を身につけさせる」といった程度のゆるやかなものに置いています。それより先の具体的目標については個々の学生が四年間の学習を通して自ら決められるよう、教室では斬新かつ充実したカリキュラムを準備して対応しています。では『地理的素養や環境に対する問題意識』とは何か。私たちが生活の基礎を置いている自然環境や人文環境には、『地理的空間』として捉えられる広がりがありますが、この広がりを認識できる能力をここでは地理的素養と言っておきます。また、私たちが普段接している空間的な広がりだけでなく、地球規模の広がりの中で、さまざまな人為的な悪影響が顕在化していますが、それらを的確に捉え認識できる能力を環境に対する問題意識と言っておきましょう。地球表面に広がる様々な現象には、均一性・規則性・方向性といった広がりの特徴がありますが、その一方で、特異性・例外性・不連続といった場面も登場します。現象の分布はどこまでも均質・均等ではありえません。そこに広がりの限界、すなわち地域性、言い替えれば地理的空間という問題が出てきます。この空間は簡単に見分けられるものもあれば、地理的訓練を積んでやっと見えてくるものまで様々です。また、空間的広がりには必ず原因があり、ものごとのプロセスや「なぜ、どうして」という点についても学習しなければなりません。この空間を発見・再発見し、その醍醐味を味わえるところ、それが「地理学」や「環境」を看板に掲げた大学の地理学科や地理・環境専攻、すなわち地理学教室なのです。
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